番外編:絵巻 BLEACH異世界トリップ夢シリーズ

現世編 視点:茶度泰虎
窓から西日が射し込んでいた。少しだけ赤く染まった光の中で、の薄茶色の瞳はオレンジ色に染まっていて、浮かんだ涙を見え難くしていた。俺はの頬を伝う涙を見て、ようやく、が泣いていると気がついたのだ。
「?!」
ぎょっとした。今までしっかりと受け答えしていたが、やはり傷が深いのかと思った。
痛いのだと思った。
涙を流すほどに。
は、少し変わっていた。
この町に引越して来てから友達になった黒崎と、休日に遊びに行こうと話した時「1コ下の弟と一緒で良いか?」と言われたのが、出会う切っ掛けだ。つまり、は俺より1歳年下で、更に実際に会って見てみると、2〜3歳は年下なんじゃないか?と思うくらい細い体格だった。
俺はこういう見た目だから、俺よりも小さい相手……特に年下や女性には怯えられたり引かれる事も良くあったから、出会う前も出会った直後も怯えられるのではと少しばかり覚悟していたのだが、は一度もそんな素振りを見せなかった。
それどころか、最初、物凄く嬉しそうに笑って挨拶をしてきて、かなり、驚いた。
その顔立ちは少しばかり『女の子のように』見えて。
始め、戸惑いながら話していた。
けれど、しばらく話すとその第一印象は書き換えられていく。
その眼差しが、とても強くて。
どこか不安に揺れる時も、笑う時も、いつもいつも、信じられないくらい真直ぐで、強い眼差しをしていた。そうして瞳に宿る光の強さに、さすがあの黒崎の弟だな、と感心したのだ。
否、むしろ、黒崎よりも男らしく見える時もあった。
遊びに行った先のゲームセンターで金が足りなくなった黒崎に、さりげなく押し付けがましくもなく、が小遣いを手渡したやりとりは、どちらが兄で弟なのか、という有り様で。
なんて頼りになる「弟」なのか、と微笑ましかった。
後日、昼休み中に黒崎にそう話せば、「あぁ、はなぁ……なんか昔っからそうなんだよな。時々危なっかしく見えるくせに、すっげ頼りになるっていうか、芯がしっかりしてる所があってさ」と返された。
その時は、そうなのか、と軽く頷いただけだったけど。
今は深く、心から頷ける。
一護の言う通りだ。
頼りになる。
けれど、危なっかしく見える。
路地裏で不良3人と喧嘩しても、倒してしまう強さ。怪我をしているからと背中におぶってみれば、細いながらもしっかりと鍛えてある身体だと分かって、なるほど見た目に反して喧嘩に強いのか、と感心した。
けれど今さっき、自分自身が泣いた事にすら気が付かず、呆然とした表情で泣いた顔が忘れられない。
あんな風に泣くヒトを初めて見た。
今は少し落ち着いたのか、涙を流したままだけれど、は一度、困ったように微笑んで、そのまま俺を見上げて。
「……なんでもねぇ……だいじょうぶ、だから」
女の子のような顔で、雄々しく笑って言った。
声が少し、震えていても。
頬を涙で、濡らしていても。
笑える強さに感嘆する。
それでも、心が痛む時は確かにあるのだ。
守ってやりたいと、思った。
どんなにが強くても、心が傷む時には、傍に居てやりたいと。
この手で、優しく撫でる事が出来れば良いと、思ったんだ。
